さて、BGM、じゃない、厳粛な祝詞がひと段落したところで、神主さんが、我らが狭小地の隅々をいそいそと回りながら、あの障子の紙を細くしてソバージュにしたようなハタキを振ったり、桜吹雪を撒いたりされているのを、ただただ眺めておりました。

150px-Shinto_Onusa kirinusa

なんだかよくわかりませんが、そのご様子を拝見しているときに、鎮守の神様に通じられている神主さんの御手を通じて、この土地に私達の家を建てさせていただく根本の整え?設え?をしていただいているんだなと感じて、なにやらスッキリ感や安定感を感じました。

そして中央に戻ってきた神主さんが、鎌を増田さんに渡しました。

さすが増田さんは手慣れたご様子。神主さんから特に指示も受けず、小山に刺さっている竹相手に、「えい、えい、えい」と発声しながら、鎌で刈り取る真似。


うわ~、これぞ儀式!!!

この、現実には何のアウトプットも生まな・・・ごほん、この象徴的な行為よ!!!

象徴的な行為って、なぜだかとても惹かれます。5歳ぐらいの子供のように、何でも知っている大人の存在に質問したい気持ち。 

ねえ、何?
これ、何?
営み??
ねえ、これって人間の営み!?


また一方で、あの知的で冷静で現実的な増田さんが、この象徴的な行為に手を染める姿はなんともシュール。「増田さんもそういうこと、するんだ。」的な、知らなかった増田さんを見てしまった感がして、一人照れておりました。


しかしそんな悠長なことを考えている暇はありません。神主さんが、今度は鍬を持ってバード夫にも儀式を強要

バード夫、指示されるままに、「えい、えい、えい」と発声しながら、小山に鍬を突きさします。


うわ~、バード夫が演技しているところ、初めて見た! シャイなバード夫の貴重なワンシーン! 「ねえ、ねえ、今、えいえいえいって言ったね!? ねえ、今、地鎮祭やったね!?」と顔を覗きこんで囃し立てたい衝動にかられました。でもやっぱりシャイなだけあって声が小さいぞ!


しかし嫌な予感は的中。他人事のように面白がっていたバードの手にも爆弾(鍬)が・・・。


ひいいいぃぃ~!!
(慣れない場だと)万年思春期で羞恥心の塊にこの行為をしろと!?

普段パソコンの前にばかりいて、発声量が世間の平均よりも少ないであろうバードも、大きな声を出すことに慣れていません。自分では頑張ったつもりでも、やっぱり小声で「えい、えい、えい」と発声しながら、コソコソと小山に鍬を突きさしました・・・。

ああもう、すごい違和感。何この仮面夫婦的な嘘っぽさ。こんなに自分と象徴的行為との間に分離感がある状態で、果たして宇宙の理に働きかけることなぞできるのだろうか・・・!?(事前にこの象徴的行為の意味するものを勉強してくればまだ一体感を持ってできたと思うけど、とてもそこまでする心身の余裕がなかった)


そして象徴的行為は続く! 今度は鋤の登場!

鋤を持った尾崎さんが、近隣に響き渡るような声で「えい!えい!えい!」と発声しながら、堂々とした動きで小山をdig!dig!dig!

さすが現場で働く男・・・。見よ、このピチピチとした生命力・躍動感を・・・! 鎮守の神もさぞ受け取ったことであろう。さすがパソコンの中のバーチャルリアリティーに生きるバード夫婦とは、現実世界との一体感が違う・・・!


尾崎さんの清々しさに称賛の気持ちを感じた一方で、「そ、そんなに大きな声でエイエイ言ったら、ご近所さんに『あ、あそこ、今、地鎮祭やってるんだ~』ってバレちゃうじゃん」と恥ずかしくて、口止めたい気持ちにもなりました。

なんでしょう、家造りって、"営み"じゃないですか。他人に"営み"を見られるのがなんか恥ずかしくってね・・・。


-----------------------------------------------------
地鎮祭をしていると思われることが、オカンに「ブラジャー欲しい」と言う、自分のことを「バードちゃん」から「わたし」に変える、「彼氏が出来た」と家族に報告する等に似た恥ずかしさを感じてしまって・・・。万年思春期。
-----------------------------------------------------